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2007年2月 1日 (木)

妄想劇場 ~966秒の夢(1)~

(注)こちらの作品はR15です。また、お読みになる前に注意書きをご一読願います。



ある朝、ギロロ伍長がなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一人の長身なペコポン人に変わっているのを発見した。

「なんっじゃ、こりゃーー!!」

何度見直しても妙に長くて色素の薄い手足は、とても自分のものとは思えない。これは夢か、そうでなけりゃ‥‥。

「くーっくっくっくっく、実験は成功のようだねえ」

テントの入り口から覗き込んでいるのは勿論、陰気、陰性、陰鬱な作戦通信参謀だ。

「そうでなけりゃ、貴様のしわざだっ!」

テントから飛び出して、ギロロはクルルの胸ぐらをつかむ。

「貴様、俺の体に何をした!」
「おいおい、俺は侵略作戦に必要な実験をして見事成功しただけだぜぇ?文句なら隊長に言えよ」

その隊長は、大はしゃぎだった。

「いっやー!すごいよ、クルルくーん!あの赤ダルマがどー見てもペコポンの普通のおっさんだよ!」
「一応、身体年齢は20代をモデルにしたんだが、強面な分、どーもおっさん臭さは否めねえな」
「ケロロ、貴様も承知のうえか!いったい何のつもりだ!」
「いやあ、我が輩もプルルちゃんみたいなA級侵略者用スーツ欲しくなっちゃったんだよね。あれがあれば侵略だって、もっと深く静かに進行するような、いけてる作戦が可能じゃん?」
「俺たちF級には間違っても支給されないが、同じようなものを作ることは可能ってわけさ。もっとも俺なりのアレンジを加えたんで、A級スーツじゃなくてAマイナースーツってとこだ。よりハイスペックだぜぇ」

ギロロはもう一度自分の体をしげしげと眺めてみた。落ち着いて、手足を動かしてみた。
気には食わないが、このスーツがあれば、ペコポンでの侵略活動の幅がぐっと広がるのは確かだろう。

「しかし‥‥これはスーツという感覚ではないな。いつものペコポン人スーツとは全く違う。自由に動かせるだけではなく、何と言うか‥‥多少の違和感は残るが、自分自身の体としか思えない」
「ふふん。生体恋化の技術を応用しているからな。スーツを装着しているんじゃない。自分自身の体が細胞レベルでペコポンタイプに擬態しているんだ。ソレはまぎれもなく先輩自身の体さ。ペコポン人のできることなら、大抵のことはできるぜぇ」
「なるほど。で、ケロン体に戻る時はどうすればいいんだ?」
「あ、悪ぃ。まだ実験段階だから、本人の意思で戻る方法は無いんだわ」
「なっ、何ぃ?A級スーツなら本人の意思で着脱可能だろ!」
「まあまあ。必要なデータとったら、戻してやるよ」
「き、貴様っっっ!」

「ちょっと、あんた達!うるっさいわよ!」

庭に顔を出した日向夏美は次の瞬間悲鳴をあげた。

「きぃいーーやぁああぁあああ!!へ、変態!!」

乙女は、裸にベルト一丁という変質者にしか見えぬ見知らぬ男に悲鳴を上げて逃げ出したのだ。

「あ、すげ。さすが新型スーツ。地球最終防衛ライン・日向夏美を一瞬にして退けたであります」
「そ、そうか?俺は何にもしてないぞ?」
「いや、間違いなくギロロ先輩にびびってたぜぇ」


ほどなく現れたのは、珍しく厳しい顔をした弟の日向冬樹だった。

「この変態!姉ちゃんに何をしたっ!」

「おい、ケロロ。変態って俺か?」
「‥‥他にいないであります」

幸い冬樹は、姉よりはずっと落ち着いていて話を聞く余裕があったので、ケロロが事情を簡単に説明した。

「というわけで、コレはギロロ伍長なのであります」

順応力の高い冬樹はあっさり納得し、もう興味津々の顔になっている。

「へー、すごいや!まるで地球人にしか見えないよ。でも、言われてみれば声は確かに伍長だし、目元とかこの傷跡とか、面影あるよね」
「そ、そうか?」
「うん。でも‥‥何で裸なの?プルルちゃんは地球人タイプになっても普通に服着てるのに」
「そこがリアリティを追求した、俺様なりのアレンジだ。身体変化はあくまでも生身の体部分のみさ。ま、このままだと倫理上、活動範囲が限られちまうようだから何か対策を考えないとな」
「つか、やっぱ服でしょ。このままじゃ見苦しいであります」

「見苦しい」という言葉に反応したギロロはギロリとケロロをにらむ。

「しかし確かにペコポン人の体というやつは、このままじゃ妙にスースーするというか、頼りなくて落ち着かんな。特にその‥‥おい、冬樹」
「何?」
「ペコポン人男子はこいつを普段どうやって収納しているんだ?」

苦虫をかみつぶしたような顔で、己の股間を指差すギロロに冬樹は唖然とした。

「伍長、悪いけどそれは収納できないよ」
「何ぃ?じゃあ貴様らは戦場でもこんなものをぶら下げたまま戦っているというのか?!」
「うん。いや、まあ、パンツはいてるし、服着てるし。伍長も、姉ちゃんがまた騒ぎ出す前に服着て、それしまった方がいいと思うよ」

背後では、ケロロとクルルがひーひーと笑い転げている。

「ギ、ギロロってさ。ペコポンに来てどんだけ経ったのよってくらい、たまに物知らずだよね」
「や、そういうウブいところもなかなかいいぜぇー、オッサン」

「き・さ・ま・らぁー!!」

怒り3倍、体格3倍、腕力10倍になったギロロが右手で緑、左手で黄色を締め上げる。

「いいから、とっとと服を持ってこんかっ!!」
「くっ、りょ、りょーかい‥‥」
「で、あります‥‥」


日向夏美は大変不機嫌だった。

「ともかく!今度あんな見苦しい姿でこのあたりをうろうろしてたら、問答無用で追い出すわよ!」

でかい図体を小さくして、申し訳なさそうにしていた男は、ぼそぼそと異議を申し立てる。

「俺だって、好きでこんな格好してるわけじゃ‥‥」

しかし夏美は男に冷たい一瞥をくれるとこう言った。

「事情はわかったわ。アンタが被害者なのも認めましょう。でもね!服着てないことくらい気付けっつーのよっ!」
「俺は普段着てないんだよっ!」
「あたし達は着るのよっ!!」

ギロロは心中複雑だった。
本当のことを言えば。ペコポン人の姿になったことで、夏美といい雰囲気になったりすることもあるだろうかと、ほんの少し考えていた。ほんの少しだ。
しかるにどうだ。
何だって俺は、こんなジャージ姿で正座までさせられて彼女に怒られているのだろう。
それもこれも、クルルとケロロのせいだ。
このスーツで侵略が進むかどうかも、はなはだ疑問になってきた。


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