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2007年5月 1日 (火)

妄想劇場 ~ 赤の標的 ~

「ちぃっ!」
最初から気の進まぬ任務ではあった。
眼下に広がる敵・敵・敵の海を見てガルル伍長は眉をひそめた。
「だが・・・私のすることは一つだ」
己に課された任務の遂行。それは、この"赤の星"の制圧。
 

"赤の星"はガマ星雲内の辺境に位置する小さな惑星だ。特殊な赤色鉱物で覆われた地表は、通り名が示すとおりぞっとするほど赤い。

「ガルル伍長、君はあの星の住人のことを知っているか?」

「基本情報でしたら。性質は獰猛・残忍。筋力はケロン人を上回りますが、知的レベルは最下層のレベルN。・・・話し合いできる相手ではないでしょうね」

「ああ、根絶やしにするしかない。だが、彼らの生命力は恐ろしく強い。頭部を破壊する必要がある」

「近付くと一種の神経ガスを出すとか」

「うむ、幻覚を見せるそうだ。一定の距離を保ちながら、確実に仕留めてほしい」

なるほど、と思う。ケロン軍屈指のスナイパーばかりを集めた理由はそれか。
しかも、地表を覆う特殊鉱物に熱を加えることは、今回の任務においては厳禁だった。
侵略の目的は、熱を加えることで様々な化学変化を起し、物騒な兵器と化すその赤い鉱物なのだから。
何の役にも立たないと判断され長く放置されたその星に、これほどの意味があると科学者どもが気付いたのはごく最近のことだ。

地表に余計な熱を加えず、話し合いにもならぬ野蛮な原住民を完全排除。
つまりは、一発の打ち漏らしもなく全て殺しつくせということだ。
は!愉快な任務を与えられたものだ。 

「行くぞ!」

どこからわいてきたのか、瞬く間に地表は敵で埋まる。敵・敵・敵・・・・敵の海だ。原始的な武器を手にし、飛び掛ってこようとするが、飛行ユニットを身に着けたガルル達侵攻部隊には届かない。
上空からひたすらに敵を打つ。
断末魔の声をあげ、一人、また一人と倒れていく相手。
上層部の判断とはいえ、これほど原始的で一方的な戦いは気分のいいものではない。

何より気分が悪いのは、敵の姿形だ。
まるで、同胞のように、ケロン人と相似の姿。
最期に残す悲鳴さえも、故郷の人のそれに似て。 

それが歴戦の雄ケロン軍人をして「"赤の星"はごめんだ」と言わしめる理由である。
戦っているうちに、気の弱いものは頭がおかしくなってしまう。幻覚作用もあいまって、同胞殺しの悪夢を見るのだ。
一人一人体色が異なるケロン人に対して、全ての者が白茶色をしているという以外、傍目には何の違いも見つからない。
何故、これほど我々に似た姿を持ちながら、何ら知性を持たないのか不思議なくらいだ。

吐き気がする。
自分だけではない、小隊全員がギリギリのところで踏みとどまって撃ち続けているのをガルルは感じ取っていた。

突然の攻撃に"赤の星"の住民は怒りをあらわにし、その姿に早くも変化が訪れる。
白茶けた海が、ザーーーーーッと朱に染まった。ガルルの愛するものと同じ色に。
"赤の星"の住民は、戦闘モードになると体色が赤に変わるのだ。

「は・・・ギロロががここにいなくて良かった」

恐らく意図的に、今回の侵攻部隊から赤系の体色を持つ兵は除外されている。戦場での余計な混乱を防ぐためだろう。
だが流石に、兵士の家族のことまでは配慮されていないらしい。
(ふ・・・当たり前だな・・・)

数え切れぬほどの赤い「同胞」。我が弟と同じ赤。
それでも。攻撃をためらうことは、死を意味する。

「偽者め!」

迷いを振り払い、目の前の敵を仕留める。赤い肌から、青い血が噴き出す。
その血の色に、ガルルは心から安堵する。弟と違う、その血の色に。

「この、偽者め!」

ニセモノメ、ニセモノメ、ニセモノメ、ニセモノメ・・・。
そうだ、自分は敵を撃ち殺しているのではない。ただ、偽者の印を付けているだけだ。弟でない証の青の印を。

いつのまにかガルルは楽しんでいる自分に気付いていた。
こんな戦闘・・・殺戮を楽しむとは。私はもう狂っているのかもしれない。
数え切れぬほどの偽者の弟。
だが、私がギロロを見間違うことなどあろうものか。偽者には偽者の印を・・・・。半ば幸福な気持ちでガルルは撃ち続ける。

 
 

ケロンに帰還して二日後、ガルルは久しぶりに自宅に戻ることになった。
久々の我が家は、やはりどこよりも心が落ち着く、緊張が解ける場所で。

「ガルル伍長、お役目ご苦労様であります」

視界の端に弟の赤い姿が入った次の瞬間、

キュイーーーーーーーーン。

ガルルは引き金を引いていた。
自然に体が動いたとしか、言いようが無い。動く赤を見た瞬間、排除すべきものとして引き金を引いていた。

「・・・すまん、ギロロ・・・」

「何を謝る?俺は撃たれたわけではないぞ」

確かにギロロに傷はなかった。が、その弾道はギロロからわずか数ミリのところをすべっていったのだ。

「だが、私はおまえを・・・」

「もう一度言う。謝る必要は無い」

あの星を制圧し、ケロンに帰還してすぐ、我々小隊は全員脳内洗浄処理を施されたはずだ。今回の任務にはそれが必要だと、初めから決まっていたようだ。
洗浄処理をされて、なお染み付いているこの赤い殺意は何だ?私はすでに狂っているのだろうか。

目を閉じると浮かんでくる、赤い海。そこに一つ一つ青の印をつける自分。
何故、このビジョンが消えない?

「ギロロ、私はもう・・・」
お前の知っている兄では、ないのかもしれない。視界がぼやける。

「ガルル、俺はおまえを誇りに思う。ケロンの勇者を」

不意にギロロはナイフで己の腕に傷をつける。
「見ろ、俺の血は赤い」

「ああ・・・・赤いな」

弟よ、おまえは全てを知っていて私を許すと言ってくれるのか。
あの星で、私は弟を殺した。何百、何千というおまえを殺した。喜びさえ感じながら。

「・・・・おかえり、兄ちゃん」

幼い日と同じ言葉で私を迎えてくれる弟。
ギロロよ、例えこの先何があろうとも、私がおまえを助けよう。部屋を去る赤い背中に、黙って誓いを立てた。

FIN
 
 

自分でも、何でこれを思いついたのかよくわかりません。(; ̄ω ̄)ゞ
何かガルル好きの方には石投げられそうなシロモノになっちゃった。

私じゃなくて、私の中の黒けろっとが書いたんです。きっとそうです。

あと、ガルル伍長とか書いたけど、クルル少佐にはまだ出会ってないってことで。クルルがいて、こんな頭の悪い作戦は無いだろう。(2007.9.18)

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コメント

はぅぅ、素敵♪
ガルル好きの方(私)からは、キッスの嵐が投げつけられるます。
ぶっちゅーvvv

あぁ、素敵素敵。
見返すほどに身悶えます。
戦う兄ちゃんはカッコいいなぁ。
ちょっとオカシくなっちゃう兄ちゃんは素敵だなぁv

この興奮は、白い紙にぶつけるに限るぜ!(>▽<)b

きゃー、キッスの嵐!マジで?
よかった!
ガルル好きのもげさんに石投げられなくて本当によかった!

うじゃうじゃといる赤い敵と対峙するかっこいいガルルを書きたかったのに、
気が付いたら何かやばい人になってました。
すまん、ガル兄ちゃん・・・。これもまた愛なのだ。

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