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2007年5月 1日 (火)

妄想劇場 ~トモダチ以上 ×××未満~

「冬樹殿ー♪ 次の日曜は我が輩といっしょにガンプラ買いに行ってほしいであります!」

侵略者とはとても思えぬ小さな「トモダチ」が、冬樹のもとにやってくる。

「あ‥‥ごめん、軍曹。今度の日曜は西澤さんと約束しちゃったんだ。別の日なら付き合うよ」
「桃華殿とデートでありますか。冬樹殿も隅に置けないでありますなー」
「あはは、やだなあ、軍曹。ただの校外活動だよ、オカルトクラブの」
「じゃ、我が輩もいっしょに行っても‥‥?」
「うん、行こうよ」

あっさり答えた冬樹にケロロはため息をつく。

「やめておくであります。桃華殿に殺されたらたまらないでありますよ」
「そーんなことないって」

いや、あるだろう。

「冬樹殿は、歳の割にニブいんだよねー。好きな子とか、いないんでありますか?」
「好きな子? うーん、正直、そういう感覚あまりよくわからないな。考察したこともないしね」

考察。流石にケロロは西澤桃華に同情した。
「恋」もある意味、超常現象ではあるが、オカルトクラブの研究対象とは違うだろう。
惚れたはれたは考察ではない。実践だ。

「考察じゃなくて!こう‥‥その人といっしょにいると、ドキドキして。嬉しくて。ずっといっしょにいたくて。胸がきゅっとしちゃうような。そういうの、無いでありますか?」

「ドキドキ、かあ」
冬樹は考える。
たぶん、今僕を一番ドキドキさせるのは軍曹だけど。
軍曹と出会えたことは本当に嬉しい奇跡だけど。
ずっとずっと、このままいっしょにいたいけれど。
君の笑顔を見ながらいつか来るかもしれないサヨナラの日をふと考えると、胸が締め付けられるようだけれど。

「でも軍曹、それって‥‥」

「おじさまー!ガンプラのお買い物なら、モアがお供しまーす。てゆーか同伴出勤?」

部屋に飛び込んできたモアに、会話は中断された。

「おお!モア殿!それは助かるであります!」
「よかったね、軍曹」
「これで冬樹殿のお手を煩わせることもないでありますな」
「ふふ、でも、今度またいっしょに買い物行こうね」
「冬樹殿‥‥!勿論であります!我が輩、冬樹殿とのお出かけ大好きであります!」
「軍曹と出かけるのは、僕も好きだよ」

ほのぼのとした空気が流れる。

「ちょっと待ったー!軍曹さんとのお買い物なら、この僕が付き合うですぅー!」

次の瞬間、そのほのぼの感を蹴破るように飛び込んできたのはタママで。

「タ、タママ‥‥でも買い物には冬樹殿やモア殿のような人型の姿が有効なのであります」
「うぬぬぬ、その女と二人きりで出かけるなんて軍曹さんの貞操の危機ですぅ」
「あーもー。じゃあ3人で行くでありますか!」
「やったー、軍曹さんとお出かけですぅ!」

くす、と笑って冬樹はそのままそっと部屋を出た。
最後まで言えなかった言葉。―――でも軍曹、それって「友達」でも同じでしょう?

軍曹の言うような「ドキドキ」を僕は軍曹に感じているけれど、でもそれは恋愛感情じゃなくて友情じゃないか。
宇宙人の彼に、同性の彼に、「恋」はしないと思うよ。
たとえどれほど愛おしい気持ちがあったとしても。
じゃあ、友情と恋愛の違いって、何なのかな。

ふと、モアとタママのことを思う。

モアちゃんは、軍曹が好きなんだよね。
流石にそれはニブい僕にもわかる。
全く姿かたちの違う異種族の軍曹のことを、あんなにまっすぐ好きなんだ。

タママも、軍曹が好きだよね、きっと。
ただの「尊敬」で片付けるには躊躇われるようなダダ漏れの好意。
男同士とか、タママを見てるとどうでもいいことのように思える。

「おい」

何だか考えがまとまらないな。やっぱり僕はニブいのかもしれない。

「おいっ、冬樹!!」
「ななな何?!あ、伍長‥‥」
「何をぼーっとしとるんだ。そんなところを敵性宇宙人にでも狙われたらひとたまりも無いぞ!」

伍長のことも好きだな、と思う。大切な家族だ。そうだ、彼なら僕の知りたい答えをくれるだろうか。

「ごめん、考えごとしてたんだ。ちょっと伍長の意見も聞かせてくれる?」
「何だ?俺でわかることか?」

「あのさ、全く姿の違う異星人に恋することって、あるかな?あるよね?」
「‥‥それを、俺に聞くのか?」
「うん」

意図がつかめん。恐ろしい男だ、日向弟。
そう思いながらも、ギロロは言葉を選んで、真面目に答える。

「ある。俺はあると思う。宇宙では他星との交流など珍しくもないことだ。ペコポン人が考えるほど、種族の違いや姿の違いは大きな問題ではない。要は気持ちだ。同じ種族のものと結ばれる方が障害は少ないだろうが‥‥惚れるのは理屈じゃないからな」

理屈じゃない、か。軍曹と似たようなこと言ってる。

「そっか。ありがとう。もう一つ聞いてもいい?」
「何だ?」
「同性に、男が男に恋するのって、おかしくないかな?」
「‥‥そ、それも俺に聞くのか?」
「うん」

何を!何を考えているんだ!本当に恐ろしい男だ、日向弟。
冷や汗をかきつつ、言葉を探す。

「‥‥おかしいかどうかは、問題じゃないだろ。ペコポンにだって、男同士の恋人くらいいるんじゃないか?相手が嫌がればそれまでだし、当人同士がよければ、それでいいじゃないか」

「そっか。そうだよね!ありがとう、伍長!」

すっきりと晴れやかな笑顔が恐ろしい。
俺、地雷を踏んじまった? いやいやいや、割と無難な答えができたはずだ。
冬樹に妙なことをふきこむと、夏美に殺される。

「あ、でもそうしたら、友情と恋愛の違いって何かな?友達といっしょでもドキドキはするよね」
「くっ‥‥そ、それも俺に聞くか?」
「うん」

半ば涙目のギロロは、それでも律儀にこの好奇心の固まりのような少年を納得させる答えを探す。
友情と恋愛の違い?何で俺がそんなこっぱずかしいことを教えねばならんのだ!

「これは俺の考えだが‥‥友情に無くて、恋愛にあるものは‥‥」
「うん!」
「たぶん、独占欲と‥‥くだと思う」
「独占欲と、何?」
「独占欲と‥‥セ‥‥イヨク‥‥」
「セイヨク?」

冬樹の脳内で、ゆっくりとその4文字のカタカナが漢字変換される。

「性欲って‥‥伍長のエッチ」
「なっ!貴様が聞くから俺は‥‥!べべべ別にエロエロな意味ではなくて!その、抱きしめたいとか、触れてみたいとか‥‥」
「キスしたいとか?」
「‥‥わかってるじゃないか」
「わかんないよ。僕、女の子にそういう感覚、あまり無いんだもん」
「この話は終了だっ」
「何で?」
「おまえにはまだ早い!」
「えーっ?」
「おまえの知りたいことは、じきにおまえの体がおまえに教えてくれるだろう。男はそういうもんだ!」
「ちょ‥‥伍長!」

湯気を出しつつ、自分のテントに引っ込んでしまったギロロを、冬樹は茫然と見送った。
うーん。伍長に聞いたのはまずかったかな。あとで姉ちゃんにフォローに行ってもらおうか。

独占欲と性欲、か。
あの時、モアちゃんとタママに感じた、胸をちり と焼く感覚が独占欲なのだとしたら。
僕は軍曹が好きなのかな。
性欲は、流石に無いけど。
抱きしめたいとか、触れてみたいとか‥‥あれ?
何かすでに普通に抱きしめてるような気がする。軍曹と抱き合うのは本当に気持ちがいいしね。

その先にあるかもしれない感情が、恋なのかな?

「おまえの知りたいことは、じきにおまえの体がおまえに教えてくれるだろう。男はそういうもんだ!」

ギロロの言葉がよみがえる。
そうだね、僕の軍曹に対するドキドキの正体は、いずれわかるだろう。
そう、きっと、まもなく。

緑色の小さな僕のトモダチ。
その時、君はどんな顔をするのかな?
遠くに見える小さなトモダチの姿がまぶしくて、冬樹は自然と目を細めていた。


FIN



世情に流される。世間で流行ってる冬ケ口で何か書けないかなーと思って。
お試しの一本。冬→ケ口の一歩手前くらいのつもりだったのに、こんなにギロロが大活躍!本当に私はギロロが好きだな!
最後の一押しをしちゃった感じのギロロ。「あんた、冬樹に何ふきこんだのよっ!」いずれナッチに怒られますw (2008.7.27)

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コメント

こんばんは
冬ケロ、私にとっては新鮮でした。
冬樹君の、「恋」って何なんだろう・・・というような疑問は、実は私もあります。
でも、ギロロには恋に近い(と、思う)感情があるので、何となくわかってきたような気がします

ここから、・・・「裏」の感想
恥ずかしそうに「・・・・セ・・・・イヨク・・・・」というギロロがとてもかわいかったです
私もギロロにそういう感情・・・あ、あります・・・。

冬ケ口、書いた私にも新鮮でしたよ。
何かギロロばっかり出番が多くなってしまったのは、私の趣味のせいです。
少々(かなり?)アブナイ感じの話なのに、可愛い感想をいただいてしまって、嬉しいやら申し訳ないやら。
ギロロに恋に近い感情をお持ちですか。大変!2次元にも3次元にもライバルがいっぱいですよ☆

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