« 妄想劇場 ~ラボでの出来事(2)~ | トップページ | マイナーにもほどがある であります(追記あり) »

2008年4月12日 (土)

妄想劇場 ~ラボでの出来事(1)~

どうしてクルル曹長の誘いにやすやすと乗ってしまったのだろう。
クルルズラボの硬いベッドに座り、プルル看護長は少々後悔し始めていた。

銀色に鈍く光るマシンに囲まれたオペレーションシートに、クルルはまるで王のように座っている。
ケロロ達といる時とはまるで違う、別の男のような顔。
ふざけた男と感じることはあっても、怖いと思ったことなど無かったのに。

せめてケロロ君かギロロ君にでも、クルルズラボに行くことを言っておくべきだったかしら。
一瞬そう考えて、プルルは首を振った。
この男の口車に乗って、ノコノコついてく気になったなんて、ケロロ君達に知られたくない。それは女心ってやつだわ。

キッとクルルの目を見据えてプルルは言った。
「クルル曹長、私なら別にいつ始めてもかまわないわよ」

「くくーっ、そんなおっかねえ顔しなくても、取って喰いやしねえよ。今日はアンゴル族の娘にもここに近寄らないよう言ってある。時間はたっぷりあるんだ。あせるなよ」

「・・・別にあせってなんか」

モアの名を出した途端、プルルの唇がほんの少しとがったのを、クルルは見逃さなかった。
くーっくっくっくっく・・・・女心ってやつぅ?



話は数刻さかのぼる。
温泉旅行の土産を日向家に持参したプルルを、帰り際に呼び止めたのはクルルだった。

「プルル看護長、一つ協力を頼みてえんだけどよ」
「協力・・・?私にできることかしら?」

クルル曹長が私に頼みごとなんて?二人きりで話すことさえ、初めてじゃないかしら。

「ああ、あんただから頼んでる」
「内容によりますが?」
「まあ平たく言うと、あんたに被験体になってほしいんだ。俺の発明のな」
「はぁ?被験体なら、ケロロ小隊の中でまかなってください。いつものとおり、ギロロ伍長とか」
あからさまに不機嫌な顔でプルルは立ち去ろうとした。

「ピチピチお肌」

しかし、立ち去る背中に投げられた言葉の威力は絶大だった。

「・・・何ですって?」

聞き間違いか、からかわれてるのか・・・?いぶかしげにプルルはもう一度クルルの方を見た。

「別にからかっちゃいねえよ。本来なら実験体は小隊の中でまかなえというのもわかる。だが、できれば女性のデータが欲しいんだ。その方が効果が大きいはずだからな」

「一体何の実験?」

「俺様の作ったアノスバラシイハダヲモウイチドラッグの効果を試したい。簡単に言うと、身体の組織、特に皮膚組織を細胞レベルで若返らせる薬だ。つまり・・・」

「お肌ピチピチ?」

「そう、お肌ピッチピチだ。女性ホルモンに直接働きかけるから、女性の方が効果は大きい。データ検証しやすいんだ。だから頼む」

クルルの話は一見筋が通っている。でも、何かが引っかかる。

「何のための薬よ。侵略の役に立つとでも?」
「察しが悪ぃな。勿論侵略の役には立つだろうぜ?この薬で女性のハートと財布を侵略だ。アンチエイジングにはペコポン女性はすこぶる弱いからな。あ、ペコポン女性に限らねえか」

くくーっっという陰湿な笑いに、顔をひきつらせたプルルが何か言い返そうとした時、クルルの顔つきが真剣なものに変わった。

「だがそれだけじゃない。もう一つの目的は負傷兵の傷の治癒だ。大怪我をしたとしてもケロンに帰れば再生医療で何とでもなる。だが、前線で動けない状態で少しでも回復を早めるには、身体細胞の再生能力を体の内から高めるしかない。あんた、看護長だろ?」

「負傷兵の・・・」
プルルの表情も真剣なものになる。看護兵としてのそれに。

「ま、今のところはせいぜい『お肌ピチピチ効果』程度の段階だけどな。悪い話じゃねえだろ?たぶん温泉よりは効果があると思うぜぇ」

「・・・危険は無いんでしょうね」

「身体の安全は保障する。妙な副作用は無い。ただ、その『お肌ピチピチ効果』が、1なのか10なのか100なのかは、正直データを取ってみないとわからねえ」

「わかった、やるわ」
もう引き下がれなかった。



・・・というわけで、プルルは今クルルズラボにいる。
そして早くも帰りたくなっていた。

クルル曹長の実験に進んで付き合うなんて、やっぱりどうかしてる?
ダメダメ、これもお肌のため、お肌のため・・・ああ、それと負傷兵のため!

「投薬前のデータをとらせてもらうぜぇ」
「どうぞ」
「そのベッドに横になってじっとしててくれ。固定はしない」

素直に横になったプルルは、自身の身に起きることを冷静に観察していた。
プルルの知識なら、まともなデータ収集か余計な真似かくらいは概ねわかる。

さっきのは・・・身体組織のスキャンね。
そして脳波、心電図、血流、自律神経解析でしょ。
今、頬に触れたものは、肌表面の成分分析だろうし。
あとは何のデータが必要かしら。

グィーーーン。

ふーん、ドリルを使って・・・・ドリル?

グィーーーーーーン。

「それは違うでしょ!」

近づくドリルが肌に触れる寸前、プルルは素早く身をかわした。

「アホトロン・フォーム!」

地球人型になってパワーが増したプルルは一発でドリルを破壊し、いつもの注射器を構えて、クルルに対峙した。笑顔だが・・・目の色が違う。

「クルル曹長、どういうおつもりですか?」
「おい、おい、待てよ!」
「私の好意を無にするつもりかしら?答えてくださらないなら体に聞きましょうか?」
「待てって!」


注射器を突きつけられたクルルの説明はこうだった。
「ケロン体のデータは勿論だが、アホトロン・フォーム装着時のデータも検証したかったんだよ」

「最初からそう言えばいいでしょう!」
「それじゃつまんねえだろ?」
呆れたようにプルルはクルルを見つめた。

「で、アホトロン・フォーム装着時のデータもとれたんですか?」
「ああ、ばっちりだ。あとは例の薬を飲んでもらうだけだ」

ばつが悪そうにクルルが差し出した「アノスバラシイハダヲモウイチドラッグ」は一見、桃色のお茶のように見えた。

「ハーブティーみたい」
「将来的にはアンプル化するつもりだが、今のところその形態だ。味は悪くないはずだぜぇ」

この男を100%信用したと言ったら嘘になる。
だが、ここまで付き合ったからには実験の結果は知りたかった。
ま、死にやしないでしょ。

プルルは無言でそれを飲み干し、10秒とかからず深い眠りに落ちた。

「悪ぃな、プルル看護長。くくーっ」



⇒長すぎるので(2)へつづく
  
  

« 妄想劇場 ~ラボでの出来事(2)~ | トップページ | マイナーにもほどがある であります(追記あり) »

コメント

ちょっ…!
まさかの「つづく」!!
き、気になりますー。

プルルちゃんなら大丈夫。
大丈夫って書いてあるから大丈夫。
…大丈夫と思いつつもドキドキしている私がここに。

>もげさん

だ、大丈夫ですよ!
えーと、大丈夫だったでしょ?
しょせん私の書くものだから、健全、健全!
いや、でも、黄色とスミレ色って、色のとりあわせとして綺麗じゃないですか。
そしてクルルには年上女がよく似合うよ、きっと。(何を根拠に!)

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 妄想劇場 ~ラボでの出来事(1)~:

« 妄想劇場 ~ラボでの出来事(2)~ | トップページ | マイナーにもほどがある であります(追記あり) »

妄想メイツ☆

  • Mosomate

    ケロロ軍曹でいろいろ妄想。楽しいわ~v

    妄想の末に書いたケロロSSはこちら→ 妄想劇場INDEX

WEB CLAP

  • 楽しんでいただけましたら、ぽちっとお願いします↓
    管理人の励みになります。

    久々にお礼画面のSSを更新しました。(2011.8.7)
    ほのぼの(?)クルケ口話。

リンク

  • FW

    HALCYON

    カエルドラッグ

    フェティッシュな生活

    キャラメルボックス

    有色の別室

    サイコロコロ

    Delight-log

    27.3℃

    ケロロえほん

    RED.log


    当サイトのバナーをもげさんが作ってくれました~!Thanks!
    Kerotto

    リンクフリーです。
    URL:http://kerotto-life.cocolog-nifty.com/
    管理人:けろっと
    連絡先:kerottomom☆yahoo.co.jp
     (☆→@) 何かありましたらこちらへ