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2008年5月18日 (日)

妄想劇場 ~困惑のアト~

※第210話 「夏美 困惑の放課後」を見て書いた小話です。ご覧になってない方には、ネタバレ、もしくは意味不明の内容になります。ご注意ください。



「よ、よくやったぞ、夏美・・・」

夏美の怒りエネルギーは、見事にラビリン人の困惑のラビリンスを消滅させ、ついでにギロロ伍長を全身打撲の重傷に追いやったのだった。

「それにしても、変な世界だったわよ。抜け出せてホッとしたわ」
夏美の言葉に、ケロロ・ギロロ・冬樹もうん、うん、とうなずく。

「でもさ、姉ちゃん意外と落ち着いてたよね。僕たちと合流した時もあんまり怖がったりしてなかったでしょ」

「そう? だってギロロがいたから、ちょっと変だけどまさか異世界にいるなんて思わなかったんだもの」

「お、俺か? けど、それは俺じゃない俺だぞ。俺は『僕の顔を食べて』なんて言わん!」
妙なことを口走る「自分」を思い出しつつ、ギロロは反論する。

「そうよね、ギロロにしちゃ、ちょっと変なこと言うなあとは思ったんだけど。『ごいっしょにポテトはいかがですか』とか、『かゆいところはございませんか』とか」

「それは、ちょっとか?ちょっとなのか?」

と、そこでお馴染みの陰湿な笑い声が割って入る。

「くーくっくっく・・・おいおい、日向夏美。ギロロ先輩があのラビリン人が作り出した世界に何度も登場したって?」

「そうよ。そのたびに変なこと言ってたけど」

「くくーっ。へー、ほー、ふーん、そうかい」

「でも、あれ本物じゃなかったのね。ラビリン人が作り出した偽者なんでしょ?」

「まあ、そういうこった。だが・・・」

「何よ」

「いかにラビリン人でも、無からあの世界は作れない。あの世界は日向夏美のインナーワールドだ。あんたの頭の中にあるものだけを使って、あんたを最も困惑させる状況を作り出すのさ」

「あれが夏美殿のインナーワールド・・・なるほど、道理でシュールであります。あり? でも何でギロロばっかなの?」

「し、知らないわよ!」

「くくーっ、あんたに自覚があるかどうか知らないが、あんたを最も心地よく困惑させるのがギロロ先輩ってことだ」

「心地よく困惑・・・? どういう意味よ」

ニヤニヤしながらクルルは説明を続ける。

「いいか? 例えば、ギロロ先輩じゃなくて隊長が『僕の顔を食べて』って言ったらどうする?」
ボケガエルが・・・? 夏美はその状況を思い浮かべる。
「そうね、とりあえず、何かしょーもないことを企んでるに違いないから締め上げて白状させるわね」
「ちょっ・・・夏美殿、それヒドくね?」
「な? “困惑”じゃなくて“怒り”だろ」
ケロロだけが不満げに口をとがらせる中、一同が納得したようにうなずく。

「じゃあ、俺だったらどうだ?」
クルルが・・・? 僕の顔を食べて・・・? 夏美はぶるっと震えた。
「ボケガエルより怪しいわよ! 絶対、ぜーったい、かかわりたくない!」
「な? “困惑”じゃなくて“嫌悪”か“疑い”だろ」
しかしあんた無駄に正直だな、とクルルがぼそりとつぶやいたので、夏美はえへへと引きつった笑顔を浮かべた。

「まあいい。それじゃ、サブローならどうだい?」
サブロー先輩が? 僕の顔を・・・僕の顔を・・・。
「なななな何言ってんのよ! サブロー先輩がそんな、そんなこと言うわけないでしょ!」
真っ赤になった夏美と対照的に、ギロロが真っ白になる。
「な? やっぱり“困惑”じゃない。“興奮”てとこだ」
その言葉に、夏美はさらに赤く、ギロロはさらに白くなった。

「じゃあ、会ったこともないおっさんだったら?」
「やだ、それが一番怖いわよ。何か気持ち悪いじゃない」
「そういうこと。“困惑”じゃなくて“恐怖”になる。誰でもいいわけじゃないんだ」

「へー、ほー、ふーん。なるほどー」
何となくクルルの言いたいことがわかって、ケロロが大げさに相槌を打つ。

「困惑エネルギーを吸い取る対象者に、恐怖や不安や怒りを与えちゃいけないんだ。あの世界には、対象者がそれなりの好意と信頼を置いてる相手が登場する・・・そういうこった」

「だとさ。よかったでありますな、赤ダルマ」

(そ、そうか? “困惑”でいいのか、俺? サブローは“興奮”だぞ?)

「もう、何言ってんのよ。いいからとっとと帰るわよ。ギロロの手当もしなくちゃね」

よいしょとギロロを抱き上げた夏美に、
「おいっ、やめろ!一人で歩ける!」
ギロロは必死で抵抗したが、無駄だった。歩ける余力など、ありはしない。

「そうそう、姉ちゃんの帰りが遅いから探しにいこうって言い出したのも伍長なんだよ」
「冬樹、余計なこと言わんでいい!」
「そうでありますよ。すんごい剣幕でさー」
「へー、そうなんだ。・・・ありがと、ギロロ」

至近距離の彼女の笑顔。そして感謝の言葉。
慣れぬ幸せに困惑した男は、もう俺はこのまま死んでしまってもいいのかもしれないと薄れ行く意識の中で考えていた。


FIN


勢いだけで書いた、第210話 「夏美 困惑の放課後」の狭間の捏造小話。あの異常世界で、夏美が困惑はしても慌てたり怖がったりしないのは、ギロロがいるから平気っていう安心感じゃないかしらんと思うわけです。(2008.5.18)

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コメント

本物のギロロは普通の表情で変なことは言わないと思いますが、冷や汗かいてたりしたら本物かもしれませんね・・・
信頼している存在ということは、近い存在でもあるってことですから、ギロロの恋もまた一歩前進ですね

本物なら絶対言わなそうな妙な発言連発が楽しかったです。アニメのあのお話は。
妄想小話、読んでくださってありがとうございます。
ギロロの恋も一歩前進!そうだといいな。
夏美は普段からギロロの言うことは割と信じるような気がします。

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