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2008年7月15日 (火)

妄想劇場 ~サヨナラ、友達~

アニメ第218話「ちびケロ 耳をすませば」で誰もが抱いたであろう疑問。
どうして、ちびケロは1人だけロボポンに対して妙にドライで大人びた反応だったのか?
その理由は自分で考えろという挑戦らしいですよ!(アニメスタッフの?)

というわけで、自分で勝手に考えました。218話をすでに見ていて、捏造小話ドンと来い!という方はお進みください。




ソレを見た時、ドキリとした。俺にはソレが何なのかわかる気がしたから。
でも、そんなはずはないんだ。あんなの、ただのガラクタに決まってる。

「なーんだ、ただのガラクタじゃん?」

できるだけ、何でもないことのようにそう言ってみた。皆にも、自分にも言い聞かせるような気持ちで。なのに。

「何とか助けてあげられないかしら」

女子ってヤツは時々ひどく余計なことを言うんだ。

「つーかさ、助けてって言われたってどーすりゃいいんだよ。そんなのほっとけよ」 
ああ、チクショウ、こんなこと言いたくないのに。

プルルちゃんがこっちを睨みつけて何か言い返したとたん、ソレがはっきりとこう言った。

「ボク‥‥ロボポン。ミンナノオトモダチ」

プルルちゃんもギロロもゼロロも、お友達ロボットのロボポンのことを思い出して盛り上がっている。
そんなの、知ってるよ。
オマエらより、ロボポンのことはずっとずっと知ってるよ。

だって俺は、ロボポンが遊園地からいなくなる最後の日、あの遊園地にいたんだから。




何年前のことだろう。
久しぶりの遊園地。大はしゃぎで走り回った俺は、気が付いたらひとりぼっちで、いっしょだったはずの父ちゃんと母ちゃんは見えなくなっていた。
急に心細くなって、涙がじわっと浮かんできた時、そのお友達ロボットがそばに来てくれたんだ。

「ボク、ロボポン。ミンナノオトモダチ。キミノナマエハ?」
「‥‥ケロロ」
「ケロロクン、ハイドウゾ」
ロボポンが差し出したのは、俺の大好きなキャンディーだった。何で知ってるんだろう。
「ありがと」
キャンディーをなめると、不思議と涙は止まった。

「 オウチノヒトハ?」
「‥‥はぐれちゃった。本当は、父ちゃんと母ちゃんがいっしょだったんだ」
「ロボポン、ケロロクンノオトモダチ。イッショニイコウ。コッチダヨ」

“もし迷子になったら、お友達ロボットに助けてもらえばよかばい”
そういえば父ちゃんがそう言ってた。
俺はロボポンの腕につかまると、いっしょに歩きだした。もう心細くはなかった。
それどころか、得意な気分だった。
「みんなのお友達」のロボポンが、今は「ケロロ君のお友達」なのだ。俺だけの友達なのだ。

勿論、そんな得意気な気持は、まもなく迎えにやってきた父ちゃんのカミナリでペシャンコになったのだけれど。

「ほれ、もう一度皆さんにお礼を言いんしゃい! 全く心配かけおってからに!」
「はーい。どうもありがとうございました」
迷子センターの大人たちにしおしおと頭を下げると、皆優しく「いいんだよ、気をつけてね」と言ってくれた。
そうだ、ロボポンにもお礼を言わなくちゃ。

「おーい、ロボポン! さっきはありがとう。おかげで父ちゃんと母ちゃんに会えたよ」
「ドウイタシマシテ。ロボポン、ウレシイ」
「俺もロボポンと友達になれてすっげー嬉しい! また来るから遊ぼうな!」
「マタ、キテネ」

だけどその時、遊園地のお兄さんが困ったような顔で言った。
「ごめんよ、ケロロ君。ロボポンは今日でこの遊園地は最後なんだ」

「えーっ! 何でロボポン最後なの? どっか行っちゃうの?」

「それは‥‥」

お兄さんは答えてくれない。
何でだろう?と思った時、後ろから「教えてあげるよ」と声がした。
この人知ってる。この遊園地の園長さんだ。

「ロボポンはね、他の遊園地に行くんだよ。遠い、遠い国に新しくできる遊園地にね」
「何で?」
「ケロン星は広い。中には、まだ遊園地が無い国だってあるんだ。その国に初めてできる遊園地でね、ぜひロボポンに来てほしいって言うのさ」
「ロボポンじゃないとダメなの?」
「うん。だってロボポンは、最高のお友達ロボットだからね。わかるだろう?」
「そっか。すげーな、ロボポン!へっどはんてぃんぐ、だな!」

くすくすと大人たちが笑う。
俺はまた嬉しくなってきた。俺の友達のロボポンは、遠い国の遊園地で大勢の子どものお友達になるだろう。
それって何だか、すげくね? すげくね?

「もう会えないのは残念だけど、新しい遊園地でも皆と遊べよ!」
「ロボポン、ミンナトアソブ」
「さよなら、ロボポン。元気でな!」
「サヨナラ、サヨナラ。ケロロクン、サヨナラ」
もう一度ロボポンと握手をした。
握手をしたあとの手には、今度は俺の大好きなチョコレートが握らされていた。
やっぱりロボポンはすげえ。そんなことを思いながら、俺はご機嫌で家路についた。


だから‥‥。


だから、あのロボポンがここにいるはずがないんだ。
ロボポンは今頃、遠い国でたくさんの子供たちと遊んでいるはずで。
こんなところにいるのは、ロボポンなんかじゃない。ただの、よく似たガラクタだ。

「ボク‥‥モウイチドダケ、ミンナトアソビタイ。オネガイ、タスケテ」

ロボポンの声は「どうして今まで助けてくれなかったの?」と聞こえた。

だってしょうがないじゃないか。知らなかったんだ。知らなかったんだよ。

「ボク、ロボポン‥‥」

ロボポンの声は「どうしてボクのことを忘れてしまったの?」と聞こえた。

あの後、遊園地に現れた新しいお友達ロボットは、手品までできる愉快なヤツで。
俺は‥‥すぐにロボポンのことを忘れてしまったんだ。

「ボク、ロボポン‥‥」

もうこれ以上聞いていられなくて、俺はスイッチをOFFにした。

「なんてひどいことするのよ!」
「だって、ただの‥‥ガラクタロボットじゃん。スイッチが入ってるからもう一度とか言い出すんだよ」

我ながらひどいことを言ってると思ったけれど、止まらなかった。
やがてギロロとゼロロとプルルちゃんがロボポンの体を作り始めたけれど、どうしても仲間に入れなかった。
その場から立ち去りたいけど立ち去ることもできず、ひどく惨めな気持ちのままでそばにいた。
頭がガンガンする。ただ、一つの言葉だけが浮かんでは消えた。

ごめんよ、ロボポン‥‥。


俺以外の3人は、それなりに楽しそうに作業を進めてるようだった。
ギロロはドリルをつけようとしているらしい。
バカだな、ギロロは。ロボポンの手はドリルなんかじゃない。美味しいお菓子を取り出す、優しい手なんだぜ。
思い出すと鼻がつんと痛くなって、慌てて俺は「そんなのつけたって意味ないと思うよ」と憎まれ口をまた言った。

しょんぼりと丸くなりながら、俺はいろんなことを考える。
何でロボポンはこんなところにいるんだろう?
どうして大人は俺に嘘をついたんだろう?
ロボポンは「最高のお友達ロボット」じゃなかったのかな?

目をつぶると、あの日の光景が浮かんできた。
最後に振り返った時、ロボポンの体を優しく撫でていた園長。
何だか父ちゃんと母ちゃんがバカに優しかった帰り道。

大人は知っていたのかもしれない。ロボポンの体はもうダメだって‥‥。


はっと気が付くと、工場全体が揺れていた。そうだ、解体作業だ!
早く逃げなきゃ全員オダブツだ。ああ、でもロボポンのバッテリーがまだ‥‥!

「やだ、これはまんない!」

「プルルちゃん、どいて」
今まで意地を張っていたのが嘘みたいに、素直にそう言えた。




それから後のことは、よく覚えていない。
確か、力任せに何度目かのスイッチを押した時、ようやくロボポンが起動して。
あっという間に俺達4人を乗せると、地面を掘り進んで脱出させてくれたんだ。

それから。 それから‥‥。


「ボク、ロボポン。‥‥アリガ、トウ‥‥」

それきりロボポンは、動かなかった。


だから。‥‥だから言ったじゃん。ただのガラクタロボットだって。無理しやがって。

目の前がじわりとぼやけた。本当は、ロボポンが動いたら「ごめんよ」って言いたかったのに。

もう、言えないなんて。


さよなら、ロボポン。俺たちの、大切な友達。


FIN



あのノリのいいちびケロとしてはあり得ない反応。何か訳ありなんだ!きっとずっと葛藤してたんだ!と、そういう妄想。
恐ろしく長くなりました。うん、15分に収まんないね。
ロボポンは量産型かなーとも思うんだけど、ちびケロにとってのロボポンは一人だけだったってことでよろしく。(2008.7.15)

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コメント

初めまして、MISTと言います。

実を言うとヌイイの回の頃から拝読していますが、自分からはあまりコメントをしないほうなので今まで何の反応も起こさずにきました。今日ちびケロとロボぽんのSSを拝読し、アニメ本編を観た時もそうだったのですが、切ない展開に涙腺が緩んでしまい、コメントすることにしました。何か文章に纏まりがなくて感想になってないかもしれませんが。

捏造小話と仰られていますが公式のサイドストーリーでもおかしくない良作だと思います。

ちなみに私は秋ママが一番好きなのですが、それゆえヌイイの回での秋ママの描かれ方は、私も大いに不満を感じ、いい話だっただけにそこがつくづく惜しいと思いました。

それでは。

MISTさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
つたない話に勿体ないような感想をいただいて、嬉しいかぎりです。
ロボポンの話、私もほろっとしたのですが、ケロロの態度だけが何か不思議で、勝手にいろいろ考えちゃいました。

MISTさんのブログ、たぶん何度かお邪魔したことあると思います。
いろんな方のアニケロ感想を見るのって楽しくて好きなので。
ヌイイの回は、私珍しく納得いかなくてエキサイトした感想書いてました。
あのへんから読んでくださってたんですね。お恥ずかしい(^^;)
秋ママ、かっこいいですよね。もっと出てもいいと思うんだけど、最強キャラだから逆に出しにくいのかしら。
武者ケロにも出ないかなーと(お秋?)期待してたりします。

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