妄想劇場 ~ ネコ調査 ~

ネコは不思議だった。

ギロロは優しい。ギロロは素敵だ。
そのギロロにあんなに想われながら、あの鈍感女がちっともなびかない理由がわからない。
‥‥どうしてだろう?

今日もまた、赤毛の少女にナチュラルにそでにされている主人を見て、ネコは首をひねった。
そもそもナツミは、いったいどういう男が好きなのだろう。
そうだ、調査が必要だ。
もしかしたらナツミは好みがすごーく変わってて、だからギロロの素敵さがわからないのかもしれない。

調査。‥‥んーと、どうやって?


「ああ、忙しい、忙しい。今日中に燃えないゴミを出さなくちゃ~」

ちょうどその時、ギロロの黄色い仲間が、ごしゃごしゃとガラクタを運んできた。
そのガラクタの山から、いつか使ったあの銃が、ネコの目の前でぽろりと落ちる。

「あっれ~?何か落としたような気がするぞ?気のせいかなあ。うん、気のせい、気のせい」

黄色はそのまま去っていった。

あの黄色が信用できるかどうかはさておき、この銃の効き目は確かなはず。
これから出てくる光をあびれば、少しの間、人間の姿になれるのだ。
ナツミと話すことだってできる。

そう、確かここを押せば‥‥ほら‥‥。




「ナツミに聞きたいことがあるニャ!」

目の前に突然現れた少女に、夏美は目を丸くした。
見たことのある子。そうだ、いつか私にウェディングドレスを着せた‥‥

「ネコちゃん?!」
「いいから質問に答えるニャ!」

ネコ姿の時と同じく、どうもこの子には嫌われてるような気がする。‥‥気のせいかしら。

「質問て何?」
「ナツミは、カエルとナメクジならどっちが好きニャ?」
「えっ‥‥‥何でその二択?」
「こーたーえーるーニャ!時間がにゃいんだから!」
「‥‥カエル」

ネコは心の中でガッツポーズをした。
ギロロ!望みありニャ!

「次の質問。えーと、強い男と弱い男ならどっちが好きニャ?」
「そりゃ強い方がいいわよ」

そーだろ、そーだろとネコは頷く。

「どんどん行くニャ。優しい男と優しくにゃい男ならどっちが好きニャ?」
「勿論、優しい人がいいわ」

うん、うん。

「それじゃあ‥‥エサをくれる人とくれにゃい人ならどっちが好きニャ?」
「エ、エサ? えーと、何か食べ物くれるってことかな」
「そうニャ」
「そうね、美味しいものをくれる人はいいかも」

ギロロは確か、ナツミにも時々エサをやっているはずだ。
焚き火の前で、いっしょに何か食べているのを何度か見たことがある。
何だ、ギロロはナツミの好みにぴったりじゃないか。これはもう、結婚するしかにゃいくらいだ。

「あっ、大事なことを忘れてたニャ!喉を撫でるのが上手な人と下手な人ならどっちが好きニャ?」
「喉?!」
「そうニャ」
「そっ、それは‥‥どっちでも‥‥」
「何でニャ?喉を上手にゴロゴローって撫でられるとすっごく気持ちいいニャ!」
「えっと‥‥じゃあ、上手な方で‥‥」

当然だ。嫌なちょっかいは出さずに、喉を撫でてほしい時だけ、気持ちよーくゴロゴロしてくれるのだ。
そんな男は滅多にいるものじゃない。ギロロは完璧なのだ。

ネコは調査結果にいたく満足した。
確かにナツミはどーしよーもにゃい鈍感女だ。でも、好みは間違っていない。
いつか、ギロロの素敵さにも気付くだろう。

「質問は以上!調査協力感謝するニャ!」
「あの‥‥ネコちゃん? いったい何の調査だったのかしら?」
「秘密ニャ!」

ネコは素早く走り去った。
早くギロロに知らせねばならない。この姿でいられるうちに。
きっとギロロは喜ぶだろう。自分がナツミの好みどおりの男だと知ったら。

「ギロロー!いいニュースがあるニャ!」
「ネ、ネコ?どうした、おまえ、何でまたその姿に‥‥?!」
「ナツミのことを調査してたニャ!」
「はぁ?おまえが、夏美を?」

そのまま伝えようとして、ネコはこの調査の重大な欠陥に気が付いた。
もう一つ、絶対聞かなきゃいけない質問があったのに!

「ちょっと待つニャ!もう一つだけ聞いてくるから!」
「おいっ、ネコ!待て!」

ネコはくるりとギロロに背を向け、息を切らして夏美のもとへと走った。

「ナツミー!」
「あ、ネコちゃん」
「さっきの続きニャ!」
「な、何?」
「赤い人と、赤くにゃい人だった‥‥ら‥‥」

最後まで言えずに、ネコは見る見る小さくなり、いつもの姿になった。

「ネコちゃん‥‥」

ネコはしょんぼり「にぁん」と鳴いた。
夏美は困ったようにネコの前にしゃがみこむ。

「今日はいったい、どうしたの?」

ネコはしょんぼりしたままだ。

「おーい、ネコー!」

そこに現れたギロロの顔を見て、ネコは再びしょんぼり「にぁん」と鳴いた。

「もとに戻ったのか‥‥」
「今日は珍しく、私のところに来てくれたのよ」
「あ、ああ‥‥そうらしいな」

元気の無いネコを、ギロロの手がゆっくりと撫でるのを、夏美は見ていた。

「にぁん‥‥」

強くて、優しくて、エサをくれて、喉を撫でるのが上手な‥‥カエル?

「そっか」
「ん?何だ?」

ギロロにはおかまいなしで、夏美はネコに笑いかけた。

「赤っていい色よね?ネコちゃん」
「うみゃ!」

ネコが機嫌良く返事する。

「うん、他の色よりいいと思うわ」
「うみゃ!」

そうだろう、そうだろう。何しろ、ギロロは素敵なのだ。
素敵な主人に撫でられながら、ネコは満足げにゴロゴロゴロと喉をならした。

「じゃね、ネコちゃん」

夏美はやれやれとため息をついた。
私は赤いのに撫でられたことなんてないけどね。
撫でられても困るけど。

―――何でニャ?喉を上手にゴロゴローって撫でられるとすっごく気持ちいいニャ!

‥‥そうなのかしら?
夏美はもう一度、赤い手に撫でられて満足そうなネコを見やった。
赤い手の持ち主は、見たことの無いような優しい笑顔をネコに向けていた。
何だ、そんな顔もするのね。

「‥‥いいな」

「あ? 何か言ったか、夏美?」

「なんっにも言ってません!」

ええ、何にも言ってませんとも!
何考えてんのよ、私。どーかしてる。

顔を赤くして部屋に戻る夏美を見て、ギロロは首をひねり、ネコは実に満足そうにもう一度「みゃあ」と鳴いたのだ。


FIN


ネコの努力、ちょっとだけ実を結ぶの巻。
ええ、これくらいのむずがゆいのが好きなんです。
そんなギロ夏。あまずっぺー、あまずっぺー!

2009年8月~2010年7月の間、拍手御礼画面においていました。(2009. 8. 1)

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