妄想劇場 ~オトナの気持ち~

「プルルちゃんに見せたいものがあるんだ」
「見せたいものって?」
「うひひ、秘密基地!」
「・・・秘密基地!?」

ケロロ君とギロロ君とゼロロ君が、3人だけでこっそり何かを作っていることは知っていた。
私は混ぜてくれないのかなって、女だからダメなのかなって、ちょっと面白くなかったの。でも・・・

「私にも見せてくれるんだ」

そう思うと心がはずんだ。早く見たいな、秘密基地。
息を切らして、家に帰った。

「ねえ、ママ。お友達と遊ぶ約束をしたの。
 今日だけは宿題をする前に外に出かけていい?あとでちゃんとやるから!」

「いいわよ。今日はひどく暑いから、ちゃんと・・・」

ちゃんと水分補給してから行くのよ、なんてママの言葉は背中で聞いて、もう私は駆け出していた。
ぎらぎらと照りつける日差し。確かに今日は暑い。
秘密基地は、涼しいのかしら。
広いのかな、狭いのかな。ケロロ君のあの得意げな様子からすると、意外と広いかも?

早く、早く・・・自然と小走りになる。
この先の曲がり角を曲がったら、ケロロ君と待ち合わせの空き地が見えるはず。

そう思った瞬間、周りの景色がぐにゃりと歪んで。

―――突然、目の前が真っ暗になった。








気が付いた時は、知らない男の人が、私の顔をのぞきこんでいた。
鋭い目付きの大人の人。ちょっと怖い。

だけど、きっとこの人が私を助けてくれたのだろう。
私はどうやら、先ほど倒れた場所からあまり離れていない木陰に運んでもらったらしい。
ひんやりと冷たいタオルが頭にのせられていた。

「大丈夫か?これでも飲むといい」

その人がくれたジュースをゆっくりと口にすると、ズキズキと痛む頭が少しずつ軽くなるようだった。

「それでいい」

怖そうに見えた顔は、微笑むと優しそうで、ちょっとドキッとした。
パパより、かっこいいな。

「熱中症になりかかってたんだろう。まだ横になっていなさい」
「は、はい。ありがとうございます、おじさま」

その人は、くつくつと笑った。

「おじさまなんて、そんな立派なもんじゃないさ」

でも名前も知らないんだもの。そう言いたくなった時だ。

「プルルちゃん、こんなとこにいた!どうしたんだよ!?」

現れたのは、ケロロ君だった。
待ち合わせの場所に来ない私を心配して、ここまで来てくれたんだろう。
私を助けてくれた男の人は、ホッとした様子でケロロ君に話しかけた。

「この子のことを知ってるのか?」
「うん、友達のプルルちゃんだよ」
「うちは近いのかい? 本当は、涼しい室内で休ませてあげた方がいいと思うんだ」
「うーん、プルルちゃんの家かー。方向としてはギロロの家の方だけど、ちょっと遠いよ」
「そうか・・・じゃあ、うちで休ませるか。ケロロ君もいっしょに来てくれ。そうすれば、この子も安心だろう」
「オッケー♪」

「あの、もう大丈夫ですから・・・」

自分で起き上がろうとした私は、めまいを起こして尻餅をついた。

「無理はダメだよ。いいから、寝ていなさい」

ふわりと抱きかかえられた安心感で、私はまた意識が遠くなった―――。








「ん・・・」

再び目を開けると、ケロロ君とギロロ君の顔がそこにあった。

「あ、プルルちゃん起きた!」
「プルルちゃん、大丈夫か?」

さっきまでの嫌な頭痛は消えていた。いったい、どれくらい眠ってたんだろう。

「あの、ここは・・・?」
「ギロロんちだよ。一番近かったからさ」
「ありがとう。ごめんなさい、迷惑かけちゃって・・・」
「気にすんなよ。秘密基地は、また今度な!」

ケロロ君とギロロ君が、にっこりと笑った。

そういえば、さっきの人は「うちで休ませるか」って言ってたはずだ。
てことは、つまり・・・。

「さっき私を助けてくれた人、ギロロ君のお父さんだったのね」
「え?」
「いいなあ、ギロロ君は。あんな強そうで優しい素敵なお父さんで」
「いや、あの・・・」

その時、ギロロ君のお父さんが現れた。

「もう大丈夫かい。ゆっくり休んでていいからね」

「は、はい!助けてくださって、本当にありがとうございました!
 まさか、おじさまがギロロ君のお父さんだったなんて・・・」

・・・・。

一瞬の沈黙の後、ギロロ君が言った。
   

「プルルちゃん。それ・・・俺の兄ちゃんのガルル」
   

ニイチャン・・・? 兄ちゃん!

「兄ちゃんて、ギロロ君がよく話してくれる、あのガルル兄ちゃん?」
「うん・・・」

とたんに頭に血が上った。ああ、どうしよう!穴があったら入りたい。
お兄さんのことをお父さんと間違えるなんて。

「あああのっ、ごめんなさい!ギロロ君のお兄さん、本当にごめんなさい!」

「いやいや、いいんだよ。君たちから見たら、大人なんか皆同じようなもんだろう」

優しいお兄さんは私を責めるでもなく、そう言ってくれた。
けど、そのすぐ横でケロロ君とギロロ君が、肩をふるわせて笑いをこらえているんだもの。

「本当にすみませんでした」
「気にすることはないさ。でも、これからは暑い日の水分補給を忘れないようにね」
「はい!」
「それと、初対面の人には、『おじさま』より『お兄さん』て呼びかけた方がいい」

「は、はいっ!わかりました!」

はははと笑って、お兄さんは出て行った。
初めて素敵だなと思った大人の人は、思ったよりは大人じゃなかったみたい。

「どうしよう・・・すごい失礼なこと言っちゃった」
「大丈夫だよ、俺の兄ちゃんはそんなことで怒ったりしないって」
「そうだよ、おっさんくさい顔したギロロの兄ちゃんが悪いんだからさ!」
「バ、バカ、ケロロ!兄ちゃんの部屋、このすぐ隣りなんだぞ」
「え、やべ。マジで?」




―――おじさま。

その言葉の本当の残酷さをプルルが知るのは・・・
オトナの気持ちを彼女が知るのは・・・

それから、ずっとずっと後の話。


FIN

ちびケロ祭り参加作品。楽しいお祭りでしたv

プルルとガルルの捏造初対面とおじさま(おばさま)ネタを書いてみました。
子供は時に残酷なものです。
実はこのガルルもしっぽ取れたてだったりして。
そしてゼロロは変だなーと思いながら、まだ秘密基地で待ってたりして。(2009.4.21)

妄想メイツ☆

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    ケロロ軍曹でいろいろ妄想。楽しいわ~v

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    久々にお礼画面のSSを更新しました。(2011.8.7)
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